論文抄読会

第1回消化器外科論文抄読会を開催(2025年4月26日)いたしました。

2025年4月28日

開催日:2025年4月26日
司 会:進士誠一先生
指導医:上田純志先生
発表者:松井隆典先生
論文名:Microbiota-derived 3-IAA influences chemotherapy efficacy in pancreatic cancer
掲載雑誌:Nature, 2023年3月2日, Volume 615

今年度第一回目の発表は、大学院生の松井隆典先生にご担当いただきました。
松井先生は、腸内細菌をテーマに研究を進めている先生で、彼の探究心と情熱にはいつも刺激を受けます!
そんな松井先生から、今回は膵癌における腸内細菌と化学療法効果の関連性をテーマにしたNature掲載論文の紹介です。
この研究は、転移性膵管腺癌患者に対してFOLFIRINOX療法を施行した際の治療効果と腸内細菌叢との関連を調査したものになります。
患者を治療反応群(Responder group)と治療抵抗群(Not responder group)に分類し、それぞれの腸内細菌叢をマウスに移植して解析を行いました。
結果、治療反応群では、インドール-3-酢酸(3-IAA)という代謝産物が顕著に上昇しており、これが化学療法の抗腫瘍効果を高める鍵であることが示されました。
さらに、3-IAAがミエロペルオキシダーゼ(MPO)と反応し活性酸素種(ROS)を蓄積させることで、がん細胞のオートファジー(自己防御機構)を抑制し、腫瘍細胞の成長を阻害するメカニズムが解明されました。
自らの研究テーマである腸内細菌を起点に、がん治療への応用可能性を広げる最新知見を、情熱をもって発表してくれました!松井先生のプレゼンからは、未来の腸内細菌治療の可能性を感じました!初回の発表がNatureからの非常に難しい論文ということもあり、準備も大変であったと推察されます。お疲れ様でした。
腸内細菌叢とがん治療という、今後の医療を変えるかもしれない新しい領域について、非常に刺激的な時間となりました。
2025年度も引き続き、消化器外科チーム一同、力を合わせて学び続けて参ります!
今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

日本医科大学付属病院消化器外科論文抄読会
日本医科大学付属病院消化器外科論文抄読会


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